人事労務ニュース
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文書作成日:2025/11/25

確認しておきたい特定(産業別)最低賃金

 今年の10月を皮切りに、地域別最低賃金が発効されていますが、この地域別最低賃金と合わせて確認しておきたいものとして、特定(産業別)最低賃金(以下、「特定最低賃金」という)があります。以下では、この特定最低賃金に関してとり上げます。

[1]特定最低賃金とは
 特定最低賃金は、特定の産業において設定されている最低賃金のことを言います。関係労使の申出に基づき都道府県ごとに設置された最低賃金審議会の調査審議を経て、同審議会が地域別最低賃金よりも金額水準の高い最低賃金を定めることが必要と認めた産業に設定されます。
 地域別最低賃金は、すべての労働者の賃金の最低賃金額を保障するセーフティーネットの役割がありますが、特定最低賃金は、企業内の賃金水準を設定する際の労使の取組を補完する役割があります。適用される産業は都道府県によって異なり、2025年3月31日現在、224件で設定され、適用労働者数は約296万人となっています。

[2].特定最低賃金にまつわる注意点
 特定最低賃金は、該当する産業に属する事業場で働く労働者に適用されます。技能実習生等の外国人労働者や事務を専らとする労働者もこの中に含まれます。ただし、18歳未満または65歳以上の人、雇入れ後一定期間未満で技能習得中の人、その他、その産業に特有の軽易な業務に従事する人など、個別に適用されない労働者の範囲が定められています。
 地域別最低賃金は、産業や年齢を問わずすべての労働者に適用されますが、特定最低賃金は、該当する産業で同じ事業場で働く労働者であっても、特定最低賃金が適用される人と適用されない人がいることを押さえておく必要があります。

 地域別最低賃金と特定最低賃金はいずれか高い方が適用されます。地域別最低賃金が順次発効されており、この対応で賃金の見直しを行った場合も、今後、特定最低賃金が改定・発効されることで、再度賃金の見直しが必要となる場合もあります。特定最低賃金が適用されている事業場は、特定最低賃金の時間額と発効年月日を確認し、確実に改定の対応を行いましょう。

■参考リンク
厚生労働省「特定最低賃金について

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。




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